自治体が空き家を一律に買い取ったり、申込みだけで寄付を受け入れたりする制度はありません。自治体への寄付は、地域での利用目的、建物状態、権利関係、取得後の管理負担などを踏まえて個別に判断されます。
また、空き家バンクは自治体による買取制度ではありません。所有者が売却・賃貸を希望する物件情報を登録し、買いたい・借りたい人との接点をつくる仕組みです。自治体へ相談する前に、寄付、空き家バンク、仲介売却、民間買取、解体後の土地処分を同じ条件で比べましょう。
先に結論
- 自治体への寄付:受入れの可否と条件を所在地の担当窓口へ確認する
- 空き家バンク:自治体が買うのではなく、購入・賃借希望者へ情報を届ける
- 売却・買取:片付けや解体を発注する前に、現状のままの売却可否と手取りを確認する
自治体の買取・寄付・空き家バンクは別の仕組み
※スマートフォンでは表を横にスクロールして確認できます。
| 選択肢 | 相手・仕組み | 最初の確認 |
|---|---|---|
| 自治体へ寄付 | 自治体が受入れの必要性と負担を個別判断 | 寄付相談の窓口、対象不動産、必要書類、費用負担 |
| 空き家バンク | 売りたい・貸したい所有者と希望者をつなぐ情報制度 | 登録要件、媒介方法、改修・残置物の条件 |
| 仲介売却 | 不動産会社が購入希望者を探す | 想定価格、販売期間、仲介・測量・片付け費 |
| 民間買取 | 買取会社が直接購入を検討 | 現状渡しの範囲、価格、引渡し時期、契約条件 |
| 相続土地国庫帰属制度 | 一定の相続土地を審査後に国庫へ帰属 | 建物の有無、権利・境界、申請資格、手数料・負担金 |
3分でわかる 空き家寄付
寄付できない場合も含めて、複数の出口を比べる
自治体に
寄付できるよね?
まず条件を
確認します
受け取れないと
言われた…
別の出口を
比べよう
※内容や費用、税務・法的な取扱いは、物件の状態・地域・契約条件などにより異なります。
自治体が空き家の寄付を受け入れにくい主な理由
寄付は売買代金が発生しなくても、受け取った側には管理、修繕、安全対策、税務・登記手続きなどの負担が残ります。そのため、次の条件が整理できていないと、相談が進みにくくなります。
- 公共的な利用目的が見つからない:庁舎、道路、防災、地域活用などの具体的な用途がない
- 建物の管理負担が大きい:老朽化、雨漏り、倒壊リスク、残置物、修繕・解体費がある
- 権利関係が整理されていない:共有名義、未相続、抵当権、借地・賃貸などの権利が残る
- 境界や接道が不明確:隣地との境界、道路への接し方、越境物などを確認できない
- 取得後の支出が見通せない:草木管理、保険、警備、修繕、解体などの継続費用がかかる
自治体ごとに受入方針や必要書類は異なります。「自治体なら無料で引き取る」と決めつけず、所在地の財産管理・管財・空き家対策などの担当窓口へ、土地と建物の両方を寄付したい旨を伝えて確認してください。

自治体へ寄付を相談する前に集める7つの情報
- 01固定資産税納税通知書所在地、地番、家屋番号、評価額を確認します。
- 02登記事項証明書所有者、共有持分、抵当権などを確認します。
- 03公図・地積測量図など土地の範囲と接道、認識している境界を整理します。
- 04建物と敷地の写真外観、室内、残置物、劣化、越境、前面道路を撮影します。
- 05利用・管理の履歴最後の居住時期、賃貸、修繕、草木管理などを時系列でまとめます。
- 06費用の見込み片付け、測量、修繕、解体、登記の見積り有無を伝えます。
- 07希望する手放し方と時期寄付だけでなく、売却・買取も比較していることを整理します。
資料がすべてそろっていなくても、所在地、名義、建物状態、残置物、希望時期が分かれば、自治体や売却先へ最初の相談はできます。
空き家バンクは自治体の買取制度ではない
国土交通省は、空き家バンクを、空き家を売りたい・貸したい所有者が物件を登録し、買いたい・借りたい人から申込みを受ける仕組みとして案内しています。自治体が売買代金を払って取得する制度ではありません。
登録要件、現地調査、媒介契約の要否、改修補助、残置物の扱いは自治体ごとに異なります。所在地の自治体に空き家バンクがあるかを確認し、民間の仲介・買取査定とも並行して比較すると、寄付だけに絞るより出口を判断しやすくなります。
相続土地国庫帰属制度は「空き家を国へ寄付する制度」ではない
相続土地国庫帰属制度は、相続などで取得した一定の土地について、法務大臣の承認を受けて国庫へ帰属させる制度です。売買で取得した土地や、空き家の建物そのものを手放す制度ではありません。
法務省は、建物がある土地は承認申請できないと案内しています。未登記の建物でも、現に建物があれば対象外です。担保権・使用収益権、境界争い、管理に過分の費用や労力を要する事情なども確認され、審査手数料と承認後の負担金があります。検討する場合は、解体を決める前に管轄法務局へ相談してください。

寄付を断られたときの処分方法を比べる
| 方法 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 仲介売却 | 時間をかけて購入希望者を探せる | 価格、販売期間、測量・片付け条件を確認する |
| 民間買取 | 現状のまま早めに条件を整理したい | 査定根拠、現状渡し、契約不適合責任の条件を比較する |
| 空き家バンク | 地域内外の活用希望者へ情報を届けたい | 登録条件と媒介方法が自治体ごとに異なる |
| 解体後に土地売却 | 建物の危険性が高く、土地需要を見込める | 解体費、滅失登記、税負担、再建築条件を先に確認する |
| 管理を続ける | 利用・売却の時期を待つ合理的な理由がある | 税、保険、点検、修繕、近隣対応が続く |
先に解体や一括片付けを発注すると、古家付きで売る選択肢や手取りが変わることがあります。まず空き家の処分方法で全体像を確認し、空き家査定の相談先、空き家撤去費用、売れない空き家の見直し方を必要な順に確認してください。
自治体への空き家寄付・買取に関するよくある質問
自治体は空き家を買い取ってくれますか?
自治体が空き家を一律に買い取る制度ではありません。公共事業などで個別取得する場合はありますが、空き家バンクも自治体の買取制度ではありません。所在地の自治体へ寄付・取得の窓口を確認し、民間の仲介・買取査定も比較してください。
建物付きのまま自治体へ寄付できますか?
受入れの可否は自治体が個別に判断します。老朽化、残置物、権利関係、境界、管理費用などが判断材料になります。土地だけの寄付を求められる場合は、解体費と売却可能性を確認してから決めてください。
寄付なら費用をかけずに手放せますか?
必ず無料とは限りません。登記、測量、残置物処分、解体、書類取得などの費用負担を求められることがあります。負担者と引渡し条件を書面で確認します。
相続土地国庫帰属制度で空き家を手放せますか?
建物がある土地は申請できません。制度は一定の相続土地が対象で、権利・境界・管理負担などの要件、審査手数料、承認後の負担金があります。管轄法務局へ個別に確認してください。
寄付を断られたら最初に何をすればよいですか?
解体前に、現状のままの仲介売却・民間買取・空き家バンク登録の可否を確認します。査定額だけでなく、片付け、測量、解体、税、引渡し時期を含む手取りと手間で比較してください。
寄付を断られた後でも、現状の売却可否は確認できます
所在地、名義、固定資産税通知書、建物と残置物の写真、希望時期を分かる範囲で共有すると、現状売却・片付け・解体のどれを先に比較すべきか整理できます。
参考情報
- 国土交通省「空き家を売る・貸す際に活用できる制度」
- 国土交通省「全国地方公共団体空き家・空き地情報サイトリンク集」
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」
- 法務省「相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件」
- 法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」
※自治体の受入方針、税務、登記、契約条件は物件と地域により異なります。最新情報は所在地の自治体、法務局、税務署、司法書士・弁護士・税理士などの専門家へ確認してください。










